追加の覚書の書き方:業務や条件を足すときの範囲・対価・原契約との関係

追加の覚書では、足す内容と範囲、対価、納期、原契約との関係の四つを書きます。範囲を限定しない包括的な追加は、争いの種になります。

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追加業務の報酬は、業務の性質によって請求の根拠が変わります(民法632条、633条、648条1項)。対価の額と支払期日は、覚書に明確に書いておきます。

このページの要点

  • 追加する内容と範囲、対価(税込・税別)、納期、原契約との関係の四つを書く。
  • 「その他一切の業務」といった包括的な追加は避け、含まれない範囲も書く。
  • 案件ごとの条件書は、空欄を残さず、版と通し番号で管理する。
  • 追加の発注では、フリーランス法3条や取適法4条の明示が問題になる場面がある。対象になるかは取引の内容による。

結論:追加の覚書は、範囲・対価・納期・原契約との関係の四つを書きます

契約を結んだ後で、もとの契約に書いていなかった業務や条件を足したくなることがあります。追加の作業を頼みたい、対象の範囲を広げたい、特定の相手にだけ適用する割引などの条件を加えたい、という場面です。こうしたときに使われる書面が、追加の覚書、補足の覚書、特別条件の覚書、個別案件の条件書などです。名称は違っても、中に入れるべき項目はほぼ共通しています。

契約書作成の実務の経験では、追加の覚書でトラブルになりやすいのは、足した内容の範囲が曖昧なこと、足した分の対価や納期が書かれていないこと、そして足した内容ともとの契約との関係が書かれていないことです。そこで、追加の覚書には、次の四つを書いておきます。

  1. 追加する内容と範囲:何を、どこまで足すのか。足さないものは何か。
  2. 対価:追加した分の報酬や費用を、いくら、いつ、どう支払うのか。
  3. 納期・期間:いつまでに、またはいつからいつまで行うのか。
  4. 原契約との関係:もとの契約のどの条が適用されるのか。食い違いがあればどちらが優先するのか。

このページでは、この四つの書き方、「その他一切の業務」といった包括的な追加が持つ危険、案件ごとの条件を書く様式の運用、一部の相手方にだけ適用する特別条件の書き方、そして追加の発注があったときの取引条件の明示を、順に整理します。契約の内容を「変える」場合の手順は変更の覚書のページ、基本契約との優先関係の書き方は書面の優先関係のページで扱います。

追加の覚書の骨格:何を、いくらで、いつまでに、原契約とどう関係するか

追加の覚書にも、新しい取り決めである以上、契約の成立に関する民法の考え方が当てはまります。民法522条1項により、申込みと承諾で契約は成立し、同条2項により、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成は要件ではありません。ただし、追加の業務は、あとで「それは含まれていたのか」「報酬は別なのか」が争いになりやすいため、書面にしておく意味が特に大きい場面です。

追加の覚書に入れる項目と、書き方のポイント

項目書く内容曖昧にしたときの問題
追加の内容追加する業務、成果物、条件を具体的に書く。足さないものも書く範囲が広がり、どこまでが追加なのか争いになる
範囲・数量回数、数量、対象物、対象の期間を書く追加の作業が無制限に増える
対価金額(税込・税別を明記)、計算方法、支払期日、支払方法を書く追加の報酬を請求できるかどうかが不明確になる
納期・期間提出期限、実施期間、検収の方法を書く遅れが生じたときの責任が決まらない
原契約との関係原契約の何条が適用されるか、食い違うときの優先関係を書く責任、秘密保持、解除の条が追加分に及ぶのか分からない
変更・解除追加部分だけを途中でやめるときの扱いを書く追加の内容だけを終えたいときに全体の契約が動くのか分からない

次に、骨格を条文にした一例を示します。実際には、取引の内容に合わせて項目を調整します。

条文例追加の覚書の条文例(一般的な例)

  1. 甲と乙は、令和○年○月○日付「○○契約」(以下「原契約」という。)に基づく業務のほか、次の業務(以下「追加業務」という。)を乙に委託し、乙がこれを受託することに合意する。(追加業務の内容を具体的に記載する)
  2. 追加業務の範囲は、前項に記載したものに限る。前項に記載のない業務は、追加業務に含まれない。
  3. 甲は、乙に対し、追加業務の対価として、金○円(税込・税別を明記)を、令和○年○月○日までに支払う。
  4. 乙は、令和○年○月○日までに、追加業務を完了し、その成果を甲に提出する。
  5. 追加業務には、本覚書に定めるもののほか、原契約の各条項が適用される。本覚書と原契約の定めが異なる場合は、その異なる部分に限り、本覚書が優先する。
  6. 追加業務を中止するときは、その時点までに行った追加業務の割合に応じて、第3項の対価を精算する。この場合も、原契約の効力は影響を受けない。

第2項は、足さない範囲を明確にします。第6項は、追加部分だけをやめる場合の精算を定めており、全体の契約の存続と切り分けるための条です。

「その他一切の業務」という包括的な追加が持つ危険

追加の覚書で特に注意したいのが、「その他、甲が必要と認める一切の業務」「本件に付随する業務全般」といった、範囲を限定しない書き方です。こうした書き方は、業務を頼む側にとっては、後から作業を足しやすいという利点があるように見えます。しかし、頼まれる側にとっては、際限なく作業が増える危険があり、頼む側にとっても、何を依頼し何を依頼しなかったのかが曖昧になり、成果物の範囲や責任の範囲が争いになります。

この問題は、追加業務がどのような性質の契約に当たるかによって、報酬の発生の仕方が変わることとも関わります。民法の規定を確認しておきます。請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することで成立します(民法632条)。報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払うのが原則です(民法633条)。一方、委任は、法律行為をすることを相手方に委託する契約で(民法643条)、法律行為でない事務の委託には準委任として委任の規定が準用されます(民法656条)。委任・準委任では、受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができません(民法648条1項)。

つまり、追加で頼まれた業務の性質が、仕事の完成を目的とするものか、事務の処理を目的とするものかによって、報酬の請求の根拠と時期が変わります。しかも、準委任の性質を持つ追加業務については、報酬の特約がなければ、民法上は報酬を請求できない場面があります。そのため、追加の覚書には、報酬を支払うことと、その額・時期を、明確に書いておく必要があります。「その他一切の業務」と書いてあるだけでは、どの業務に報酬が付くのかが決まりません。

書き方の例(一般的な例) 追加業務の範囲の書き方

範囲

よくある書き方「その他、甲が必要と認める一切の業務を行う」と書く
整えた書き方追加業務の内容を具体的に列挙し、「前項に記載のない業務は含まれない」と書く

理由範囲が限定されないと、業務が際限なく増え、対価との釣り合いも取れなくなるため

対価

よくある書き方「追加の作業については、別途協議する」と書く
整えた書き方追加業務ごとに、金額または計算方法と支払期日を書く

理由「別途協議」だけでは、協議がまとまらない間の扱いが決まらないため

受付

よくある書き方口頭やチャットで追加を依頼し、覚書は後回しにする
整えた書き方追加を依頼するたびに、内容・対価・納期を確認した書面を取り交わす

理由追加の依頼ごとに合意の証拠を残し、報酬の根拠を明らかにするため

包括的な追加を完全に避けられない業務もあります。たとえば、日々の細かな作業依頼を、いちいち覚書にするのは現実的でない場合です。そのようなときは、あらかじめ原契約か覚書で、「追加の依頼は、書面(電磁的方法を含む)で行い、内容・対価・納期を記載する」といった手続を決めておき、その手続に従った依頼だけを追加業務とする、という運用が考えられます。この運用では、どの方法で依頼を受けたら追加として成立するのかを、あらかじめ合意しておくことが肝心です。

追加分の対価については、支払の時期も書いておきます。追加業務の報酬を、原契約の報酬と一緒に支払うのか、追加業務の完了後に別に支払うのか、検収の後に支払うのかによって、請求できる時期が変わります。仕事の完成を目的とする追加業務は、目的物の引渡しと同時に報酬を支払うのが民法の原則ですが(民法633条)、当事者が別の定めをすれば、その定めによることになります。事務の処理を目的とする追加業務は、期間や進行の程度に応じた支払の仕方を、覚書で決めておく必要があります。

案件ごとの条件書:空欄を残さず、番号と優先関係を付ける

継続的な取引では、基本となる契約書を結んだうえで、案件ごとに条件を書き込む様式(個別案件の条件書、個別契約書、注文書のような書式)を使うことが多くあります。様式は、日付、金額、期間、負担者といった欄が空欄になっており、案件ごとに記入して取り交わします。この方式には、取引のたびに契約書を作り直さずに済むという利点があります。一方で、運用を誤ると、次のような問題が生じます。

  • 空欄が埋まらないまま署名や押印がされ、後から、誰かが書き込む。
  • 空欄が残ったまま相手方に交付され、どの条件で合意したのか分からなくなる。
  • 様式の本文が基本契約の条項と食い違い、様式を使うたびに食い違いが再生産される。
  • 様式が改訂されて古い版と新しい版が混在し、どの版で合意したのか分からなくなる。

これらを防ぐために、次の運用を決めておくと安全です。

案件ごとの条件書の運用

様式を確認する基本契約との優先関係と、版の番号を確かめる。
全欄を記入する空欄を残さず、該当しない欄には「なし」と書く。
署名前に読み合わせる金額・期間・負担者を、双方で読み合わせる。
番号を付けて保管する案件番号や通し番号を付け、原契約と一緒に綴じる。

空欄のまま署名する運用は避けます。署名後に書き込むことが避けられない場合は、書き込む者と時期をあらかじめ書面で決めておきます。

案件ごとの条件書の署名前チェック

  • 日付、金額、期間、負担者の欄がすべて埋まっているか。該当しない欄は「なし」と書かれているか。
  • 基本契約の名称と日付が、様式の中で特定されているか。
  • 基本契約と食い違う条件を置くときは、その旨と対象の条が明記されているか。
  • 様式の版の番号が書かれ、署名する書面が最新の版か確認したか。
  • 金額に税込・税別の別が書かれているか。
  • 原契約や他の条件書との通し番号が付けられ、保管の場所が決まっているか。

空欄式の書式の運用と、日付を空欄にすることの危険は、日付のページでも扱います。署名・押印の運用や部数、保管の考え方は、署名・保管のページで整理しています。

特別条件の書き方:適用範囲・期間・原契約との関係

追加の覚書の中には、特定の相手方にだけ適用する特別の条件を定めるものがあります。たとえば、通常の価格より低い価格を一定期間だけ適用する、通常より長い支払期日を認める、通常はない追加サービスを付ける、といった内容です。特別条件の覚書は、一般の条件と違う取り扱いをする旨を、はっきり残すための書面です。書き方のポイントは、次のとおりです。

特別条件の覚書に入れる項目

項目書く内容書かないと起きること
適用される相手方・場面誰に、どの取引について適用するのか他の取引や他の相手方にも適用されると主張される
原契約のどの条に代わるか原契約の何条の定めに代えて適用するのか原契約の他の条との関係が分からない
適用の期間いつからいつまで適用するのか。期間満了後の扱い特別条件が際限なく続くと受け取られる
条件を満たさなくなったとき特別条件が適用されなくなる場合と、通常の条件に戻る時点適用の終了時点で争いになる
他への適用の否定本覚書の条件は他の取引や将来の取引に適用されないこと特別条件が前例として扱われる
内容の開示開示を制限する場合は、対象と例外を書く開示してよいか不明確になる

特別条件の覚書には、価格や条件を第三者に知らせないことを求める条項が置かれることがあります。この種の条項を置くときは、守るべき情報の範囲を具体的に書くことが大切です。さらに、法令に基づいて開示を求められる場合や、守秘義務を負う助言者への開示など、開示してよい例外を、あらかじめ書いておくのが一般的な整え方です。開示を一律に禁じる書き方は、実際の運用で守れない場面が出てきます。

条文例特別条件の覚書の条文例(一般的な例)

  1. 甲は、乙に対し、令和○年○月○日から令和○年○月○日までの間に限り、原契約第○条に定める単価に代えて、次の特別単価を適用する。(特別単価を記載する)
  2. 前項の特別単価は、本覚書に定める期間および取引に限って適用し、他の取引または期間満了後の取引には適用されない。
  3. 前項の期間が満了したときは、原契約第○条の定めが、当然に適用される。
  4. 乙が原契約に定める債務の履行を怠ったときは、甲は、書面で通知することにより、第1項の特別単価の適用を終了させることができる。
  5. 本覚書に定めのない事項は、原契約の定めによる。本覚書と原契約の定めが異なる場合は、その異なる部分に限り、本覚書が優先する。

第3項は、期間満了後に特別条件が惰性で続くことを防ぐ条です。第4項は、条件を満たさなくなったときの戻り方を決めています。

追加か、別の契約か:境目の考え方と、追加分に及ぶ原契約の条項

追加の覚書を作るときに、次に悩むのが、その内容が原契約の延長(追加)なのか、独立した別の契約なのか、という境目です。境目に法律上の定義があるわけではありませんが、実務では、次のような見方をすることが多くあります。

追加の覚書か、別の契約かの見方

見る点追加の覚書として整えやすい別の契約として結ぶ方が整理しやすい
業務の関連性原契約の業務と同じ目的・同じ成果物に関わる原契約と目的が異なる、別の成果物を生む
期間原契約の期間内、またはその延長として扱える原契約とは独立した期間を持つ
対価の関係原契約の対価の上乗せとして計算できる独立した対価の仕組みを持つ
終了の扱い原契約が終われば一緒に終わる原契約が終わっても続く
責任・秘密などの条件原契約の条項をそのまま適用できる原契約と違う条件を多く置く必要がある

この表のとおり、原契約の条項をそのまま当てはめてよい追加は覚書で足り、原契約と違う条件を多く置く必要がある場合は、別の契約として結んだ方が、条項の食い違いを避けられます。追加の覚書の中に、原契約と違う条件をいくつも書き込むと、「異なる部分に限り優先する」という仕組みが複雑になり、どの条が適用されるのかが読み取りにくくなります。

追加分に原契約のどの条項が及ぶのかも、覚書の中で整理しておきます。一般に、追加業務にも適用したい条項は次のようなものです。

追加分に及ぶかを確かめる原契約の条項

原契約の条項追加分に及ばせたい理由書き方の例
秘密保持追加業務で知る情報も保護の対象にするため追加業務に関して知り得た情報にも、原契約の秘密保持の定めが適用される
成果物の権利追加の成果物の帰属を原契約と同様に扱うため追加業務の成果物の権利は、原契約の定めに従う
再委託追加業務を第三者に任せるときの条件をそろえるため追加業務の再委託は、原契約の定めに従う
責任・補償追加分にも責任の範囲を適用するため追加業務に関する責任は、原契約の責任の定めによる
解除・中途終了追加分だけを途中でやめる場合の扱いを決めるため追加業務のみを中止する場合の精算は、本覚書の定めによる

このほか、追加分が原契約の定める上限(業務量、費用、責任の額など)を超えないかも確かめます。原契約に、業務量や費用の上限が書かれている場合、追加によってその上限を超えるのであれば、上限そのものを覚書で改める必要があります。追加の内容だけを書いて上限を放置すると、追加の業務を行うこと自体が原契約に反する状態になりかねません。

追加の覚書を、取引が進むごとに積み重ねていくときは、変更の覚書と同じ問題が生じます。つまり、最新の合意が分かりにくくなることです。追加の覚書が複数になったら、追加した内容を一覧にして、原契約と一緒に管理します。管理の考え方は署名・保管のページで扱っています。覚書が増えすぎたときは、変更の覚書のページで説明している再締結を検討するのも一つの方法です。

追加の発注があったときの取引条件の明示、起きがちなこと

追加の業務を委託する場合、取引条件を明示する法令上の義務が関わることがあります。フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)3条1項は、業務委託事業者が特定受託事業者に業務委託をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法で明示しなければならないと定めています。ただし、内容が定められないことに正当な理由があるものは、その明示を要せず、内容が定められた後、直ちに明示しなければなりません。

同様に、中小受託取引適正化法(取適法)4条1項は、委託事業者が中小受託事業者に製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法で明示しなければならないと定めています。取適法の適用は、委託事業者と中小受託事業者の資本金の額などの要件を満たす場合に限られます。

追加の業務を新たに委託する場合には、その委託についても、これらの明示が問題になる場面があります。どのような場合に、どの事項を、どのように明示すれば足りるのかは、公正取引委員会規則で定められています。追加の覚書に給付の内容、報酬の額、支払期日(取適法では支払方法も)を書いておくことは、明示の一つの形になりえます。個別の取引が法の適用対象となるか、明示の方法が足りているかは、取引の内容によって異なります。

また、追加の覚書で書く事項が、そのまま明示事項を満たすとは限りません。明示が求められる事項は法令に定められているため、覚書の様式を作るときは、求められる事項を様式にあらかじめ盛り込んでおくのが堅実です。

確認の問いと理由追加の覚書に署名する前の確認の問い

  1. 追加する内容が具体的に書かれ、「その他一切の」といった包括的な表現になっていないか

    範囲が曖昧だと、追加の作業が際限なく広がり、対価との釣り合いが取れなくなるため。

  2. 追加分の対価の金額(税込・税別)と支払期日が書かれているか

    準委任の性質を持つ業務では、報酬の特約がなければ請求できない場面があるため(民法648条1項)。

  3. 納期または期間が書かれ、検収の方法が決まっているか

    遅れや品質の争いを防ぐため。

  4. 原契約との関係と、食い違うときの優先関係が書かれているか

    責任、秘密保持、解除の条が追加分に及ぶか決まらないため。

  5. 取引条件の明示が必要な取引なら、求められる事項が書面に入っているか

    フリーランス法3条、取適法4条は、給付の内容、報酬の額、支払期日などの明示を求めているため。

起きがちなこと

  • 追加の依頼を口頭やチャットで受け、覚書を作らないまま作業を進め、報酬を請求する段階で「それは含まれていた」と言われる。
  • 「その他一切の業務」と書いたために、追加の作業が際限なく増え、対価が見合わなくなる。
  • 案件ごとの条件書の空欄が埋まらないまま署名され、後から誰かが書き込んで、合意した内容が分からなくなる。
  • 特別条件の期間が書かれておらず、特別条件がいつまで適用されるのかで争いになる。
  • 特別条件の覚書が、他の相手方への取引でも前例として持ち出される。
  • 追加の発注があったのに、取引条件の明示が必要な取引だという認識がなく、報酬の額や支払期日が書面に残らない。

よくあるご質問

原契約にない業務を追加したいとき、覚書は必ず必要ですか?

法律上、書面は必須ではありません(民法522条2項)。ただし、追加業務は、範囲や報酬が争いになりやすいため、書面に残しておく意味が特に大きい場面です。追加する内容、範囲、対価、納期、原契約との関係を書いた覚書を取り交わしておくと、後から確かめやすくなります。取引条件の明示が必要な取引では、法令上も書面または電磁的方法による明示が求められます。

追加の業務の報酬は、書かなくても請求できますか?

追加業務の性質によります。請負の性質を持つ仕事の完成を目的とするものは、報酬の請求の根拠があります(民法632条、633条)。しかし、準委任の性質を持つ事務の処理を目的とする業務は、特約がなければ報酬を請求できません(民法648条1項、656条)。このため、追加の覚書には、報酬の額と支払期日を、はっきり書いておく必要があります。

「その他、必要な一切の業務」と書いておけば、後から作業を足しやすくなりますか?

作業は足しやすくなるように見えますが、範囲が曖昧になるため、かえって争いが起きやすくなります。何が追加業務で、何が含まれないのか、追加分の対価はいくらなのかが決まらないためです。追加の依頼は、書面(電磁的方法を含む)で行い、内容・対価・納期を記載する、という手続をあらかじめ決めておく方法が考えられます。

特別な価格を、特定の相手にだけ適用する覚書は、どう書けばよいですか?

適用される相手方と取引、原契約のどの条に代わるか、適用の期間、条件を満たさなくなったときの戻り方、他の取引には適用されないことを書きます。期間を書かないと特別条件が際限なく続くと受け取られるため、期間満了後は原契約の定めが当然に適用される旨も書いておきます。第三者への開示を制限する場合は、対象と例外を具体的に書きます。

追加の発注でも、取引条件を書面で明示する必要がありますか?

フリーランス法3条や取適法4条は、業務委託や製造委託等をした場合に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示するよう定めています。追加の業務を新たに委託するときにも、その委託について明示が問題になる場面があります。どの取引が対象になるか、どの事項をどう明示すればよいかは、取引の内容と公正取引委員会規則によって異なります。

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