このページの要点
- 前文には経緯を事実として短く書き、評価や約束は本文に置く。同じ契約を指す語は一つの定義語にそろえる。
- 確認条項は「確認する」、合意条項は「する」「しなければならない」と書き分ける。債務の確認は権利の承認にあたり得る(民法152条1項)。
- 条項は目的→定義→確認→合意→履行→存続→一般条項の順が目安。協議条項は、整わないときの取扱いまで書く(民法151条の合意は別途検討)。
- 管轄の合意は書面が要り(民事訴訟法11条2項)、原契約と食い違わせない。一般条項は原契約に任せて短くするか、同じ文言にそろえる。
結論:確認書と合意書は、「すでにあること」と「これからすること」を別の条に書く
確認書、合意書、覚書。呼び方はさまざまですが、書面の中身を条文に起こすとき、最初に迷うのは「何をどの順番で書くか」です。特に、事実や認識を確かめる内容と、これからの約束を決める内容が混ざった書面では、読む人が「この文は、すでにある事実を確かめているのか、新しく義務を負わせているのか」を判断できず、解釈が分かれる原因になります。
書き分けの出発点は、条文の働きの違いです。確認条項は、すでにある事実、すでにある契約の内容、当事者の認識を、書面の上で確かめるものです。確認すること自体が新しい義務を作るのではなく、「そうである」ことを当事者が認めた、という記録になります。合意条項は、これから当事者が負う義務や、新しく決めた条件を定めるものです。履行を求められ、守られなければ責任が生じる内容は、合意条項に属します。この二つを、条ごと、あるいは章ごとに分けて並べるだけで、書面はぐっと読みやすくなります。
このページは、条文と一般的な契約実務にもとづく整理であり、特定の取引への当てはめではありません。示談や誓約といった特定の場面の書面は取り上げず、確認書・合意書・覚書に共通する組み立てを扱います。変更の覚書そのものの書き方は契約書の変更を覚書で行うときの書き方で、終了の合意は合意解除の覚書で扱います。ここでは、前文、確認と合意の書き分け、条項の並び、協議条項、管轄、一般条項に絞ります。結論を先に並べます。
- 前文には、経緯を事実として短く書く。評価や約束を前文に混ぜない。約束は本文の条項に置く。
- 確認条項と合意条項は、別の条に分ける。確認条項は「確認する」、合意条項は「〜する」「〜しなければならない」と書き、動詞で見分けられるようにする。
- 債務の存在を確認する書面は、時効に影響し得る。権利の承認があったときは、時効は新たにその進行を始める(民法152条1項)。
- 条項は、目的→定義→合意事項→履行→存続→一般条項の順に並べる。定義語は、初めて出てくる場所で定義する。
- 管轄の合意は、書面でしなければ効力を生じない(民事訴訟法11条2項)。原契約と異なる管轄を置くと、食い違う。
- 一般条項は、原契約と重ねるか省くかを決めてから書く。重ねるなら、同じ内容にそろえる。
条項を書き始める前に、手元で整理する五つのこと
- 書面で確かめたい事実・認識は何か。新しく約束することは何か。二つの一覧を別々に作ったか
- 原契約や他の書面がある場合、その名称と日付を特定したか
- 登場する当事者・物・金額などの呼び名(定義語)は、一つの語にそろえたか
- 管轄、準拠法、協議の条項を、原契約と同じにするか、別にするか決めたか
- 書面の締結後も残す条項(秘密保持、清算など)と、すぐ終わる条項を区別したか
前文に書くこと、書かないこと:経緯は事実だけ、約束は本文へ
前文は、書面の冒頭にあって、「なぜこの書面を結ぶのか」の経緯を示す部分です。「甲と乙は、令和○年○月○日付で締結した業務委託契約書(以下「原契約」という。)に関し、次のとおり合意する」といった形が典型です。前文には、当事者、原契約の名称と日付、書面を結ぶ事情を簡潔に書きます。
前文に書いてよいのは、客観的に確かめられる事実です。いつ、どの契約を結んだか。その後、どのような変更の必要が生じたか。書き方によっては、前文に、事実だけでなく評価(「乙の対応に不備があったため」など)や約束(「今後は〜する」など)が書かれていることがあります。評価が前文に書かれていると、相手方がその評価に同意したと読まれる余地があり、署名した当事者が意図した以上のことを認めたことになりかねません。約束が前文に書かれていると、前文は通常、本文の条項とは異なる位置づけで読まれるため、義務なのか事情の説明なのかが曖昧になります。
書き方の例(一般的な例) 前文の書き方
経緯の書き方
理由評価と約束を前文から外し、事実と目的だけを書く。約束は本文の条項に置く
原契約の特定
理由名称と日付で、どの契約かを特定する
呼び名の統一
理由同じ契約を指す語が混在すると、別の契約を指すのかと読まれる
最後の「呼び名の統一」は、短い覚書でも起きやすい点です。前文で「原契約」と定義しながら、本文で「本契約」「現契約」と書くと、「本契約」は原契約を指すのか、この覚書を指すのか、読み手が確定できません。定義語は、初めて出てくる場所でその場で定義し、定義した語だけを使います。覚書の中では、「原契約」(変更の対象となる契約)と「本覚書」(この書面自身)の二語を軸にするのが、読み手に分かりやすい組み立てです。複数の書面があるときの序列は基本契約・個別契約・覚書の優先関係にまとめています。
確認条項と合意条項の書き分け:動詞で見分けられるようにする
確認条項は、すでにある事実や認識を確かめる条項です。「甲及び乙は、原契約が有効に存続していることを確認する」「乙は、令和○年○月○日現在、甲に対して○円の支払債務があることを確認する」といった書き方になります。合意条項は、これから負う義務や新しい条件を定める条項で、「乙は、甲に対し、令和○年○月○日までに、前条の金額を支払う」と書きます。
この区別が実務で重要になる理由は、効果が異なるからです。合意条項は、守られなければ、履行の請求や損害賠償の根拠になります。確認条項は、確認した事実が真実であることを前提に、他の条項や、後の主張の土台になります。たとえば、債務の存在や金額を確認する条項は、後から「そのような債務はない」「金額が違う」と争うことを難しくする効果があります。さらに、債務の存在を認める趣旨の確認は、権利の承認にあたり得ます。時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めます(民法152条1項)。債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から五年間などの経過で時効により消滅しますが(民法166条1項)、承認があれば、その進行は新たに始まります。確認条項は、軽い気持ちで置く条項ではなく、債務の存否に影響し得る条項だということを意識します。
確認条項と合意条項の違い
| 項目 | 確認条項 | 合意条項 |
|---|---|---|
| 内容 | すでにある事実、契約の内容、認識を確かめる | これから負う義務、新しく定める条件 |
| 典型的な動詞 | 確認する、認める、相違ないことを確認する | 支払う、引き渡す、行う、しなければならない、してはならない |
| 守られなかった場合 | 確認した事実が真実でないと分かったとき、他の条項や主張に影響する | 履行の請求、損害賠償、解除の根拠になる |
| 置く位置の目安 | 本文の冒頭(目的・定義の直後)にまとめる | 確認条項の後、履行・存続・一般条項の前に置く |
| 注意点 | 債務の存在を認める確認は、権利の承認にあたり得る(民法152条) | 期限・金額・方法を特定し、強制できる形で書く |
条文例確認条項と合意条項を分けた条文の例(一般的な例)
- 【確認】甲及び乙は、原契約が令和○年○月○日に有効に成立し、本覚書の締結の日において存続していることを確認する。
- 【確認】甲及び乙は、本覚書の締結の日までに、原契約に基づく請求書の発行及び支払が完了していることを確認する。
- 【合意】乙は、甲に対し、令和○年○月○日以降に発生する業務について、前条の単価により報酬を請求することができる。
- 【合意】甲は、前項の報酬を、請求書の受領後○日以内に乙の指定する口座に振り込む方法で支払う。
【確認】【合意】の見出しは説明用で、実際の書面では条の見出しで書き分ける。確認条項に新しい義務を、合意条項に事実の確認を混ぜない。
確認と合意が一つの文に混ざる書き方は、特に注意が必要です。「乙は、甲に対して○円の債務があることを確認し、これを令和○年○月○日までに支払う」という一文には、確認(債務の存在)と合意(支払の約束)の両方が入っています。文を二つに分け、確認の条と合意の条に配置し直します。分けておけば、後から支払の約束だけが争われたときも、債務の存在の確認の効果は別に評価できます。
条項の並び:目的から一般条項まで、読み手が迷わない順序
覚書や合意書は、短い書面でも、条項の並びで読みやすさが大きく変わります。決まった順序があるわけではありませんが、実務でよく見られる並びは次のとおりです。
条項の並びの目安(上から順に)
- 目的書面を結ぶ目的と、原契約との関係。原契約の名称・日付を特定する
- 定義以後使う語の定義。初めて出てくる場所で定義する
- 確認事項すでにある事実・認識の確認。合意事項の前提になる
- 合意事項新しく決める内容。変更・追加・終了のいずれか
- 履行・支払履行の方法、期限、支払の条件
- 存続・効力書面の効力、効力発生日、書面の締結後も残す条項
- 一般条項協議、管轄、準拠法、変更の方法、その他
短い覚書なら、目的と定義を一条にまとめ、確認事項と合意事項を二条にまとめるなど、条の数を絞る。
この並びのうち、「定義」と「存続・効力」は、特に見落とされがちです。定義は、後に出てくる語の意味を決める条項で、初めて使う場所で定義します。定義を末尾にまとめる書き方もありますが、読み手は、本文の途中で出てくる語の意味を、末尾まで探しに行く必要が生じます。覚書は短いので、冒頭の目的条項の中で定義を済ませてしまうのが、読み手にとって親切です。
「存続・効力」には、書面を結んだ後も残す条項を書きます。たとえば、秘密を守る義務、清算の合意、損害賠償の取り決めなどです。債権債務の清算を確認する条項は、権利義務を免除する意思表示としての側面があり、債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅します(民法519条)。清算条項の範囲の書き方は、合意解除の覚書で整理しています。ここでは、清算の条項は、合意事項と一般条項の間の「存続・効力」のあたりに置くと、読み手が見つけやすい、という配置の話にとどめます。
協議条項:「協議する」と書くだけでは、時効や義務には影響しにくい
覚書には、「本覚書に定めのない事項及び本覚書の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議して解決する」という協議条項が置かれるのが通例です。この条項の役割は、書面で想定していなかった事態が生じたときに、まず話し合う、という姿勢を確認することです。法的には、協議を義務づけるものの、協議の結果を強制する効果は通常ありません。協議が整わなかったときにどうなるのか、が書かれていなければ、条項は協議の入口を示すにとどまります。
協議条項に関して、時効との関係を知っておくと役に立ちます。権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から一年を経過した時など、一定の時までの間は、時効は完成しません(民法151条1項)。協議を行う期間を一年に満たない期間で定めたときは、その期間を経過した時、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六か月を経過した時、のいずれか早い時までです。再度の合意による猶予には、通じて五年を超えられないという上限があります(同条2項)。電磁的記録でされた合意は、書面によるものとみなされます(同条4項)。
ただし、この規定が働くのは、「権利についての協議を行う旨の合意」です。覚書の一般条項として置かれる、「疑義が生じたときは誠実に協議する」という条項が、そのまま民法151条の合意に当たるとは限りません。どの権利について、何を協議するのかが特定されているかなど、書き方と事情によって評価が分かれます。時効の完成が近い権利について協議をする場面では、一般条項に頼らず、権利を特定した上で、協議を行う旨と期間を書いた書面を、個別に交わす必要があるか、検討することになります。
書き方の例(一般的な例) 協議条項の書き方
一般の協議条項
理由協議が整わないときの取扱いを書き、条項が宙に浮かないようにする
期限付きの協議
理由期限と、期限後の取扱いを置く。協議を無期限に引き延ばせない
特定の権利についての協議
理由特定の権利についての協議を行う書面の合意は、民法151条の対象となり得る
管轄と準拠法:書面でしなければ効力を生じない管轄の合意
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができます(民事訴訟法11条1項)。この合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ効力を生じません(同条2項)。電磁的記録によってされた合意は、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。「本覚書に関する紛争は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」という条項が典型です。専属的とするか、複数の裁判所を並べる付加的なものとするかは、書き方によって変わります。
覚書で見落とされやすいのは、原契約にもすでに管轄の条項があるときです。原契約が「○○地方裁判所」、覚書が「△△地方裁判所」と別の裁判所を置くと、二つの書面の管轄が食い違います。覚書で原契約の管轄を変更する意図なら、その旨を明記します。変更する意図がなければ、覚書には管轄の条項を置かず、原契約の定めによる旨を書くか、原契約と同じ内容にそろえます。覚書の管轄条項が、原契約に基づく紛争にまで及ぶのか、覚書に基づく紛争のみなのか、対象の範囲も合わせて書くと、解釈が分かれにくくなります。
準拠法は、どの国の法律に従って契約を解釈するかを定めるものです。国内の事業者どうしの契約では、日本法が適用されることを前提にして、準拠法の条項を置かないことも多くあります。当事者の一方が外国の法人であるなど、国境をまたぐ要素があるときは、準拠法の条項が重要になります。法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による、と定められています(法の適用に関する通則法7条)。また、いずれの国の裁判所に訴えを提起できるかについての合意も、一定の法律関係に基づく訴えに関し、書面でしなければ効力を生じません(民事訴訟法3条の7第2項)。
確認の問いと理由管轄・準拠法の条項を置くときの確認の問い
原契約に、管轄の条項はあるか
あるなら、覚書に別の裁判所を書くと食い違う。変更するのか、原契約のままにするのか決める
専属的にするのか、付加的にするのか
「専属的合意管轄」なら、その裁判所のみ。複数の裁判所を並べるなら、そのうちのどれにも提起できる書き方になる
管轄条項の対象は、覚書に基づく紛争のみか、原契約に基づく紛争も含むか
対象の範囲を条項の中で明記する
国境をまたぐ要素はあるか
当事者の一方が外国の法人などであれば、準拠法(通則法7条)と国際裁判管轄の合意(民事訴訟法3条の7)の条項を検討する
一般条項:原契約と重ねるか、省くか、そろえるかを決める
一般条項とは、契約の主たる内容ではなく、どの契約にも共通して置かれる周辺の条項を指します。協議、管轄、準拠法のほか、権利義務の譲渡の制限、変更は書面による旨、完全合意、条項の一部が無効でも他は有効とする分離、通知の方法、秘密保持などが含まれます。短い覚書では、これらをすべて置くか、必要最小限にとどめるかの判断が必要になります。
判断の軸は、原契約にすでに同じ内容の一般条項があるかどうかです。原契約にあるなら、覚書では重ねて書かず、「本覚書に定めのない事項は、原契約の定めによる」とだけ書くのが、食い違いが生じにくい方法です。重ねて書く場合は、原契約と同じ文言にそろえます。少しだけ表現を変えて書くと、わずかな違いが別の意味を持つかのように読まれ、どちらが優先するのかが問題になります。
一般条項ごとの、覚書での扱いの目安
| 一般条項 | 原契約にある場合 | 原契約にない場合 |
|---|---|---|
| 協議 | 原契約によるとして、覚書では省くことが多い | 覚書に置くか、置かずに済ませるか決める |
| 管轄 | 原契約と同じにするか、原契約による旨を書く。食い違いを避ける | 覚書に置く場合は、対象の紛争の範囲を明記する |
| 権利義務の譲渡の制限 | 原契約によるとして省略する | 譲渡制限の意思表示があっても債権の譲渡の効力は妨げられないが、悪意または重過失の譲受人には債務者が履行を拒める(民法466条2項・3項)。置くなら覚書の対象を明確にする |
| 変更は書面による旨 | 原契約の定めに従うことを確認する | 覚書に置くと、以後の変更の方法が定まる(完全合意条項との組み合わせを確認する) |
| 完全合意 | 覚書が原契約に追加される形になるため、重ねる文言は慎重に | 置く場合は、覚書が対象とする書面の範囲を明記する |
一般条項は、書面の分量を増やしがちですが、短い覚書に、原契約と同じ内容を丸ごと重ねて書く必要は通常ありません。原契約に任せて短くまとめる方が、食い違いの余地が減ります。一方で、覚書が、原契約とは別個の独立した合意(たとえば、新たな取引についての付属の書面)を定める場合は、一般条項を一通り置いて、自己完結した書面にしておく方が安全です。
起きがちなこと:書き分けの不足から生じるつまずき
確認書・合意書の組み立てで起きがちなこと
- 前文に評価や約束が書かれ、どこまでが事実で、どこからが約束かが分からない
- 確認の文と約束の文が一つの文に混ざり、後から約束だけが争われたときに整理できない
- 債務の存在を確認する条を軽い気持ちで置くと、権利の承認にあたり得るという影響を見落とす
- 同じ契約を「原契約」「本契約」「現契約」と呼び分け、どの契約を指すのか読み取れない
- 定義を末尾にまとめると、本文の途中の語の意味を探すことになる
- 協議条項が「協議する」のみで、協議が整わないときの取扱いが書かれていない
- 原契約と覚書で管轄の裁判所が食い違っている
- 原契約の一般条項を、少し文言を変えて覚書に重ねたため、二つの書面の優先関係が問題になった
これらは、書面を「何を確かめ、何を約束するのか」の二つに分けて考える習慣で、多くは予防できます。書面の使い分けの全体像は覚書・合意書・変更契約書の使い分けに、書面が食い違ったときの読み方は原契約との食い違い・紛失・更新漏れにあります。日付の書き分けは日付と遡及で整理しています。
よくあるご質問
確認書と合意書は、どう使い分ければよいですか?
確認書は、すでにある事実、契約の内容、当事者の認識を確かめるための書面、合意書は、これから負う義務や新しい条件を決めるための書面、と整理するのが目安です。ただし、法律上、題名で効力が決まるわけではないため(民法522条)、実際には一つの書面の中に両方が入ることも多くあります。その場合、確認条項と合意条項を別の条に分けて書くと、読み手が混乱しません。
債務があることを確認する書面を作ると、時効に影響しますか?
債務の存在を認める趣旨の確認は、権利の承認にあたり得ます。時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めます(民法152条1項)。確認書に債務の確認条項を置くときは、この影響を意識して、確認の対象となる債務の範囲と金額を特定します。
前文には何を書けばよいですか?
当事者、原契約の名称と日付、書面を結ぶ目的や事情を、客観的な事実として簡潔に書きます。相手の対応への評価や、今後の約束は、前文ではなく本文の条項に置きます。前文に約束を混ぜると、義務なのか事情の説明なのかが曖昧になります。
管轄の条項を、原契約と別の裁判所にしてもよいですか?
当事者の合意で、第一審に限り管轄裁判所を定めることができ、この合意は書面でする必要があります(民事訴訟法11条)。ただし、原契約にすでに管轄の条項があるときに、覚書で別の裁判所を書くと、二つの書面が食い違います。変更する意図があるなら、その旨と対象の紛争の範囲を明記し、意図がなければ、原契約と同じにそろえます。
「誠実に協議する」という条項は、置いたほうがよいですか?
書面に定めのない事態が生じたときに話し合うという姿勢を確認する条項として、置くのが通例です。ただし、協議の結果を強制する効果は通常なく、協議が整わなかったときの取扱いが書かれていなければ、入口を示すにとどまります。協議が整わないときは原契約の定めによる、といった取扱いまで書くと、条項が宙に浮かびません。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、契約の内容や取引の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、実務でよく見られる書き方を整理した一般的な例で、特定の取引を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認できます。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 公正取引委員会